音楽の種まきの初日、光溢れる田園風景の緑の中に、鮮やかな黄色のピアノがやってきました。会場に据えると、まるで自ら光を放っているように見えました。
その日から毎日毎日、多い日には50人近くの人がピアノを弾きに来てくれて、正確には把握できていないけれど多分1週間で延べ200人くらいの人が、房総エリアのみならず関東各地からも演奏しに来てくれました。聴きに来てくださった方は、その何倍、何十倍いたかわかりません。
大工さん、農家さん、議員さん、バスの運転手さん、新聞記者さん、先生、おじいちゃん、おばあちゃん、子ども達…。様々な職業の、3才くらいの小さな子から70代までの多様な世代の方がピアノを弾きにきてくれました。みんな笑顔で、譲り合って、大きなトラブルもなく、常に笑いと拍手とリスペクトと感動が絶えませんでした。
台風からの復興を願い、「音楽」というただ一点で繋がり合って、コロナ禍にただ1曲をみんなで歌うことを夢見てやってきた私達の復興ソングプロジェクトは、気がつけば、地域に音楽で笑顔を届ける素敵なコミュニティになっていました。
初日の最初から、ピアノを弾く人が絶えませんでした。みんなそれぞれのストーリーを抱えてきて、ピアノの前に座りました。夕暮れ時には近所の子ども達が思い思いの楽譜を持って弾きに来てくれました。美しい光景でした。
2日目には子ども達が歌ってくれました。素敵な歌声でした。私たちも、海外含むメンバーのオリジナル曲を発表しました。市長はじめ沢山のゲストが来てくださいました。
音楽は他の会場にも広がっていき、仲間が、南房総中で、たくさんの笑顔と拍手の花を咲かせていました。
連日、遠くからもたくさんの方が弾きに来てくれました。YouTuberさんもたくさん撮影に来られました。3日はNHKなどの撮影も入りました。普通ならとても見ることのできないようなサプライズのゲストもあり、素晴らしい演奏で会場中を熱気に包み込みました。
その日の最後にみんなで歌いました。メンバーから、虹色のカーネーションの花束をもらって少し泣きました。素敵なバラの花束もいただきました。会場からは近隣の花農家さんのバラが配られ、訪れた人を笑顔にしていました。
大企業の揺るぎないブランド力、
協会のダイナミックかつ細やかな手配とサポート、
3会場の理解と協力、
メンバーの温かい人柄…
そして曲を書いてくれた人、演奏してくれた人、観に来てくれた人、裏方で動いてくれた人、手伝ってくれた人、応援してくれた人、花やプレゼントを差し入れてくれた人、撮影してくれた人、取材に来てくれた人、ポスターを貼ってくれた人… 誰ひとり欠けても、実現しないイベントでした。関わってくれたすべての方々に、心より感謝申し上げます
それから「セルフコンパッション〜自己犠牲せずに利他をするには」を朝6時から共に学ぶHUCの方々、この学びがなければ、このイベントは絶対にやりきれませんでした。一緒に学んでくれている方々にも深く感謝です。
今日午睡から覚めたら、この1週間のことがまるで長い夢だったみたいに思えました。あの黄色いピアノがもうあの場所にないことを思い、さみしくてまた少しだけ泣きました。外へ出たら、あの日と同じ、秋晴れの青空が広がっていました。
やっぱり長い夢を見ていたような気がしました。
黄色いピアノがやって来てみんなを笑顔にして、
みんなが音楽を、今までより少しだけ好きになった。
そんな夢でした。
素敵な夢を見させてくれてありがとう。
愛と感謝
by Keiko Yamaguchi